NMR Analyserで描いた構造から1H、13C、2D NMRスペクトルを予測する
要点:Settings › PluginsからNMR Analyserをインストールし、構造式を描いてNMRタブを開き、1H、13C、COSY、HSQC、HMBCのいずれかを選んでPredictを押します。アルファベット付きのピークを持つシミュレーションスペクトル、化学シフト・積分値・多重度・結合定数のシグナル表、図上の原子のハイライトが得られます。測定スペクトルとしてではなく、帰属の手がかりとして使ってください。
なぜ帰属の前にスペクトルを予測するのか?
NMRスペクトルの帰属とは、各シグナルを構造中の原子に対応させることです。実測スペクトルを前にして難しいのは、どこから始めるかです。予測スペクトルがあれば、すべてのシグナルについて最初の見当が付きます。
予測は、提案した構造の確認にも役立ちます。予測スペクトルと実測スペクトルが大きく食い違えば、構造か帰属を見直す必要があります。学生も同じように練習できます。予測し、比較し、それぞれの違いを説明するのです。
各測定からわかること
- 1H NMR:化学シフトは各プロトンの環境を示します。積分値はそのシグナルを与えるプロトンの数を示します。分裂パターンと結合定数(J、Hz単位)から隣接するプロトンがわかります。
- 13C NMR:通常、等価な炭素の組ごとに1本のシグナルが現れ、1Hよりはるかに広いppm範囲に広がります。炭素の環境の数を手早く数えられます。
- COSY:クロスピークが、互いにカップリングするプロトン(通常2〜3結合離れたもの)を結び付けます。CH基の鎖をたどるのに使います。
- HSQC:各プロトンを、それが結合している炭素(1結合)と結び付けます。
- HMBC:プロトンを2〜3結合離れた炭素と結び付けます。第四級炭素やヘテロ原子をまたいでフラグメントをつなぎます。
よくある手順は、1Hスペクトルを読み、HSQCで各プロトンを炭素に割り当て、COSYでスピン系を組み立て、HMBCでそれらをつなぐ、というものです。基礎から学びたい方は、まずNMRスペクトルの読み方をお読みください。
プラグインで表示される情報
| 1Dスペクトル | アルファベット付きのピークを持つ1Hと13Cのプロット。Labelsをオンにすると、アルファベットと構造上の原子を対応させられます。 |
|---|---|
| シグナル | 各シグナルのラベル、化学シフト(ppm)、積分値、多重度、結合定数(Hz)。行にカーソルを合わせると、キャンバス上の対応する原子がハイライトされます。 |
| 2Dスペクトル | COSY、HSQC、HMBCの等高線プロット。 |
| 分光計 | 60〜800 MHzのプリセット、または最大1200 MHzまでの任意の値。 |
| History(履歴)とOverlay(重ね合わせ) | すべての予測はHistoryに保存されます。複数の1D予測を重ねて比較できます。 |
| ダウンロード | プロットのPNGやSVG、またはスペクトルデータのCSV。 |
NMR Analyserのインストール方法
- MolDrawエディターを開いてサインインします。無料アカウントで十分です。
- Settings(歯車)をクリックし、Pluginsをクリックします。
- NMR Analyserの横のInstallをクリックします。解析パネルにNMRタブが表示されます。
スペクトルの予測と活用の方法
- 構造式を描くか、Paste SMILESでSMILESを貼り付けます。
- NMRタブを開き、測定の種類を選びます:1H、13C、COSY、HSQC、HMBC。
- Predictを押します。1Dスペクトルは数秒、2Dスペクトルはもう少しかかることがあります。
- Spectrometerを使用する装置の磁場に合わせると、多重線の見た目が実測データに近くなります。
- 枠をドラッグしてppm範囲を拡大し、スクロールでピークの高さを調整し、ダブルクリックでリセットします。
- LabelsとSignalsをオンにします。行にカーソルを合わせると、どの原子に対応するかがわかります。
- ダウンロードボタンでプロットやデータを保存します。
授業や研究室での活用法
- 実験レポート:生成物のスペクトルを予測し、測定したスペクトルと比較します。ずれたシグナルがあれば、その理由を説明しましょう。測定ファイルの準備には、ブラウザのNMRビューアで基準合わせ、積分、ピーク検出を行います。
- 異性体の問題:候補となる2つの異性体を予測し、1Hスペクトルを重ねて、両者を区別するシグナルを探します。
- 分裂を教える:60 MHzと600 MHzを切り替えます。同じJ(Hz)でも低磁場ではより広いppm範囲を占めるので、多重線が広がって重なりやすくなります。卓上型NMRのスペクトルが混み合って見える理由がわかります。
- 2Dの練習:小さな分子のHSQCとHMBCを予測し、学生自身にフラグメントをつながせます。
- 例題:スライドや配布資料用にSVGのプロットをエクスポートします。
ヒントと率直な限界
- 予測はnmrdb.orgによるものです。1HはSpinusモデル、13Cはnmrshiftdb2のデータ(HOSEコード)を使います。インターネット接続が必要です。
- 予測ツールには溶媒の設定がありません。特にOHやNHの化学シフトは、溶媒、濃度、温度によって変わります。
- 重要な場合は立体化学を描いてください。ジアステレオトピックなプロトンは、異なる予測化学シフトを与えることがあります。
- R基や結合点(*)は実際の原子に置き換えてください。予測ツールは中性の有機分子で最もよく機能するので、金属や塩は取り除いてください。
- 予測は仮説です。特に2Dスペクトルについては、自分のデータで帰属を確認してください。
アカウントがすぐに使えない場合は、無料の構造式からNMRへツールで、サインインせずに手早く予測できます。
質問と回答
予測NMRスペクトルはどのくらい正確ですか?
一般的な有機分子では有用な手がかりになりますが、測定値ではありません。交換性のOHやNHのプロトン、珍しい環系ではずれが大きくなることがあり、予測ツールには溶媒の設定がありません。帰属は必ず実測スペクトルで確認してください。
NMR Analyserにはアカウントやインターネット接続が必要ですか?
どちらも必要です。予測には無料のMolDrawアカウントでのサインインが必要で、各予測はオンラインのnmrdb.orgサービスから得られます。すでに行った予測は、お使いの端末のHistoryに残ります。
どの2D NMR測定を予測できますか?
COSY、HSQC、HMBCです。等高線プロットで描かれ、相関する原子を図上でハイライトできます。
予測スペクトルをエクスポートできますか?
はい。ダウンロードボタンで、プロットをPNGやSVGとして、スペクトルデータをCSVとして保存できます。